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「木島ちゃ……んっ」
ミサヲちゃんを連れ込んだ自分の部屋。
唯の気配は、とっくにない。
あれからすぐに部屋じゅう大掃除をして、シーツカバーもカーテンも、思いつく何もかもを変えた。やっといてよかった。
ベッドにミサヲちゃんを押し倒し、覆いかぶさるようにキスを繰り返して、その最中わざと音を立ててベルトを外しにかかると、彼女はその音が恥ずかしくて堪らないと顔を覆った。
「シーツ、木島ちゃんの匂いがする」と顔を赤らめたミサヲちゃんは全然プロの商売女なんかじゃなく、ただの21歳の女の子に思えた。
わざとやってるのかと思ったら、ミサヲちゃんは本気だった。
それっぽいことやってんなよ、とニヤニヤしながら何度かつついてやると、「ホントに恥ずかしいのに、からかわないで」と泣き出してしまった。
その顔を見た瞬間、そんなふうに見てないと言いつつ、俺の中にまだミサヲちゃんをそんなふうに見ている部分があることを思い知った。
商売女と蔑んだつもりはない。
だけど、毎日色んな男を見ている彼女は、恥ずかしいことなんてないんだろう、と勝手に思っていたんだ。
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