いっそのこと、甘く断罪。

3/40
128人が本棚に入れています
本棚に追加
/40ページ
   素だとこんなに臆病で恥ずかしがりやなくせして、どうやって俺のこと襲ったんだろう。  マゼンタの妖しい部屋の魔法だったんだろうか。  だとしたら、俺はかなりラッキーな経験をしたことになる。  仕事を離れたミサヲちゃんがどんな女か知りもしないで、ここに来てまだ簡単に済ませようとした自分を恥じた。  薄汚れた自分の思い込みを、ぶん殴りたい。  ──それと同時に、彼女のことがものすごくいとおしくなった。  誰がここにいて同じように泣いても、ここまで胸が痛くなることはないと思う。  俺なんかに片想いして、俺なんかに人知れず尽くして、俺なんかにこうして身を委ねて、虐められて泣いて──。  悪いと思った。  女はやってしまえば同じ……だなんてどこかで傲慢だった自分。  本当に、ミサヲちゃんに悪いと思った。  あの妖しい部屋で起きたことはいったんリセットしてしまいたい。 .
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!