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素だとこんなに臆病で恥ずかしがりやなくせして、どうやって俺のこと襲ったんだろう。
マゼンタの妖しい部屋の魔法だったんだろうか。
だとしたら、俺はかなりラッキーな経験をしたことになる。
仕事を離れたミサヲちゃんがどんな女か知りもしないで、ここに来てまだ簡単に済ませようとした自分を恥じた。
薄汚れた自分の思い込みを、ぶん殴りたい。
──それと同時に、彼女のことがものすごくいとおしくなった。
誰がここにいて同じように泣いても、ここまで胸が痛くなることはないと思う。
俺なんかに片想いして、俺なんかに人知れず尽くして、俺なんかにこうして身を委ねて、虐められて泣いて──。
悪いと思った。
女はやってしまえば同じ……だなんてどこかで傲慢だった自分。
本当に、ミサヲちゃんに悪いと思った。
あの妖しい部屋で起きたことはいったんリセットしてしまいたい。
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