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芽衣はキュッと口唇を噛み締めると、そのまま俺の首筋に噛みついて来た。
「いてっ!」
「バーカ」
「え?」
「バーカ。バーカ。木島ちゃんの、バーカ」
「ごめんなさい、でもなんで……?」
寡黙なオヤジが烈火の如く怒り狂ったときと、母ちゃんが泣いたときしか言ったことのない正しい謝罪を口にしながら、俺は噛まれた首筋を押さえて涙目になる。
だって“ごめん”と“すみません”と“申し訳ありません”くらいしか他人には言ったことない。
女癖は悪いけど、その程度には俺は善人だと思う。
“すみません”と“申し訳ありません”は仕事オンリーだし。ごめんなさいするようなこと、他にはしてない……はず。
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