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「嘘」
「何、言ってんの」
「だって、8年も」
「きっかけがなかった。ずるずると終わりにできなかっただけだよ。もう、終わりにする」
「そ、んな簡単に……」
繋いだ芽衣の手に、そっと口唇を這わせる。
「……別に、それを終わらせるからって、芽衣を簡単に扱ったりしないって」
「……」
なんで言いたいことが判ったんだ、という顔をする。
「結婚して、離婚もしたでしょ……それは、きっかけじゃなかったの……?」
「はは、痛いところ突くね」
動きようもない現実を前に、抵抗なんて意味がない。
過去のことなら、なおさらだ。
それくらいのことを味わってきた年齢で助かったと思う。
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