始まりの終わり。

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   ──マザー・テレサか。  俺は操にカーディガンを掴まれたまま、その切り抜きに目を奪われた。  ひと目でそうと判るくらい有名な人だし、有名な言葉だ。  知識としては知っているが、今この瞬間までこの人の言葉を本当には理解してなかったように思う。  だって、おかしいだろ。ずっと前から知っていたのに、今、こうして雷に打たれたみたいな衝撃を感じてる、とか。 『……木島ちゃん』  ふと、俺を抱きしめながら耳元で甘やかにささやく芽衣の声が思い出された。  確かに芽衣には何回か蹴られたっけ。  そういう問題じゃないか。  でも、そうされても構わないと思ったっけな。芽衣に対する想いが何なのか、自分でも判らないままに。 .
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