始まりの終わり。

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   ここにいるのは、操だけど。  もう一度、彼女を振り返った。  縋るような瞳の操とぶつかって、心が揺れる。  ほんの一瞬前まで、この瞳を蔑むのが正しい対処だと思ってたんだけど。  ──本当に操には、行き場がないのか。  結婚している身で不貞を働くほど、俺のことが好きなのか。  俺なしでは、いられないのか。 「操」  そのままゆっくりと振り返り、カーディガンを掴む手首をパシンと掴む。  操の瞳に、期待が過ぎった。 「木島」  見つめる俺の視線をどう解釈したのか、酩酊するように操の瞳がどろりと欲望に溶ける。  それを受けて掬い取ってやるのは簡単なことだけど。 .
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