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「お前、旦那に言えよ」
「……え?」
「俺が欲しいなら、旦那に言え。男ができたから、別れてくれって」
ぱちぱち……と操は何度も瞬きをして俺を見上げてくる。
“何を言ってるんだ”という疑問があからさまなその瞳を確認して、俺はふっと苦笑した。
「判ってるんだろ、自分で」
「何を……」
「お前、俺なんか別にいらないだろ。旦那が相手してくれさえすれば、こんな危ない遊び、しなくていいんだろ」
「ちょっと、木島」
操は青い顔をして俺の手を振りほどこうとするが、しっかり掴んでやってるからびくともしない。
きゅっと口唇を噛み締めると、操はもう片方の手でドン、と俺の胸を叩いた。
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