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サビまで来て、パッと思い出した。
ZARDの“心を開いて”だ。
中学生の頃、真夏に清涼飲料水のCMソングとして流れていたことを思い出す。
今聴くには季節的に少し早い。
その頃の何も考えていなかった自分を思い出して、むず痒くなった。
この歌みたいなサワヤカな恋なんてしたことはないが、今になってその頃味わえなかった甘酸っぱさがリアルに胸に広がる。
鼻歌をやめて、歌詞に耳を傾けた。
坂井泉水の歌声は本当に稀有なもので、色んな雑音の中を真っすぐ突っ切ってくるから、聞き取りやすい。
歌詞を改めて聴きながら、すごくいい歌だと思った。
ホント、このテの感受性を養わずにここまで来たんだな、俺。
本当に恋をしたことがなかったんだな……と彼女を待ちながら思い知る。
操のことを、そうじゃなかったとは思わないけど。
恋なんて、性欲を綺麗に言い換えただけなんだと思ってた。
それはある面で正しいんだろうが、そうでないことがあるだなんて、知らなかったんだ。
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