始まりの終わり。

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   頭の中に芽衣の顔を思い浮かべ、不信心者ではあるが心の中だけで十字を切った。  とりあえず俺の女神は変わらず芽衣なんだから、そこに理性の援護を頼むのは間違ってないはずだ。  散々やりまくって立てなくなった芽衣の泣き顔を思い出す。  それだけでけしからんイライラ性欲が和らぐ気がする。  ……“イライラと性欲は繋がっている”っていう気付いたばかりの説が真実なら、操を見てどうしようもなくやりたくなるのは、恋のせいだけじゃないのかも知れない、と思う。  だったら、長年行き場もなくこじらせてしまった恋心に裏打ちされた恨みとか憎たらしさとか──そういうものの解消に、俺は操の身体を使ってただけってことになる。  これは、芽衣が教えてくれたことだ。  俺は確かに、今も操に未練を持ってる。  でも、共犯者という理由を得て、操と何度も関係するようになって。  恋なら背徳を感じない。嬉しいはずだろう。  愛なら幸せを感じる。満たされるはずだろう。 .
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