始まりの終わり。

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   こういう浮ついた気持ちを浮気と呼ぶなら、芽衣に殴られても仕方ないことをしていると思うんだけど。  操を切ってもいいと言った舌の根も乾かないうちに、この感じを楽しんでるというのは、充分罪深い。  おかしなことにならなければ何でもいいじゃん……なんてもう思えないくせに、俺の身体はこういう浮ついたやりとりをする癖が抜けない。  たった数日で一途な男に生まれ変わるのは不可能だってことを思い知らされて、自分の心の弱さに軽く絶望してしまう。  こんな罪悪感を抱えた身体で家に帰って、芽衣の身体を丁寧にまさぐるのがまた幸せ……ということまで判っているからよけい始末に悪い。  芽衣と付き合い出してなお、俺の快感は変わらず矛盾のかたちをしているらしい。  ただこれまでと違うのは、俺の思考の中心に必ず芽衣が鎮座している、ということ。  芽衣に誓ったからって、一生懸命努力しているわけじゃない。  彼女に努力するとは言ったが、今までの習慣の何もかもを急に塗り替えることなんてできやしない。  それでもやはり努力はしたいと思ってそう言った。でも。  努力なんてしなくても、俺のあちこちに芽衣のことを案ずる癖がつき始めていた。  ここに彼女はいないのに、よこしまな思いを抱こうものなら俺の中の芽衣にじっと睨まれている気になるのだ。 .
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