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ほどなくして、俺たちは職員室に入ることになった。
小室とコータは後ろ側の扉のバリゲートを。
俺は前側のバリゲートを作った。
詩「こんなもんかな」
俺は高く積み上がった机を見据えた。
沙「ご苦労様、詩音」
隣には、少し目の腫れている沙耶がいた。
詩「無理すんなよ?休める時に休んどかないとな?」
俺は沙耶の肩を掴んで、近くにあった椅子に座らせた。
冴「彼の言うとおりだ、皆息が上がっている、少し休んでいこう」
俺はそのまま、みんなの分の飲み物を職員用の冷蔵庫から取り出した。
詩「ほら、水しかないけど、今のうちに飲んどいたほうがいい」
俺はコータ、小室に投げ渡し、近くにいた宮本に三人分の飲み物を渡した。
詩「沙耶も……あれ?沙耶は」
コ「洗面台の方に行きましたが」
俺はそれを聞いて、コータと二人で洗面台に向かった。
近くに行くと、顔を洗っている音が聞こえる。
最初にコータが声を掛ける。
コ「高木さん、大丈夫ですか?」
沙「ん?」
そこには、眼鏡を掛けている沙耶がいた。
コ「め、眼鏡……」
詩「……おぉ///」
沙耶は恥ずかしかったのか、コータの方にタオルを投げた。
沙「だからなに?コンタクトがやたらとずれるのよ///」
そして、俺とコータの間を通り抜けた。
コータは顔に掛かったタオルを取ると、俺に目線を向けた。
しかも……
詩「眼鏡ぇ///」
コ「眼鏡ぇ///」
考えていることは一緒だった。
そして、すぐに呆ける頭を横に振って思考を切り替えた。
詩「おい、沙耶」
沙「……何よ、この眼鏡に文句でもあるわけ?」
詩「いや、その……」
沙「はっきりいいなさいよ!!」
俺は大声に驚きながらも、きちんと答えることにした。
詩「眼鏡の方が、可愛いかなぁ?なんて……」
俺は恥ずかしくなったので、視線を違うところに向けた。
沙「っ!?///ばっっ……あ、ありがと///」
俺はその場の空気にやるせなくなってしまい、無言で飲み物を沙耶に差し出した。
沙「ん」
沙耶は黙って受け取ってくれた。
どうもこういう空気は苦手だな……
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