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そんな感じでいると、皆の話し声が聞こえてきた。
孝「鞠川先生、車のキーは?」
鞠「ぁぁ、バックの中に……」
鞠川校医は、急いでカバンの中をまさぐっていた。
そこで、冴子先輩は疑問を口にした。
冴「全員を乗せられる車なのか?」
鞠「うぐっ……そういえば」
つまり、全員は乗せられない車か……
詩「それなら、学校にある遠征用のマイクロバスなんてどうだ?」
冴「ふむ、丁度壁の鍵かけにもキーはあるようだが?」
すると、コータは外の様子を眺めた。
コ「バス、外にあります」
鞠「それはいいけど、何処へ?」
そう言われてみると、何処へ行けばいいか……
すると、小室が喋り始める。
孝「家族の無事を確かめます。近い順にみんなの家を回るとかして、必要なら家族も助けて、そのあとは安全な場所を探して……」
小室は一旦、口を閉ざしてしまった。
沙耶はそんな小室に疑問を抱いた。
沙「どうしたの?」
沙耶以外はあるところに目線を向けていた。
無論俺も同じ方向に目を向けていた。
沙耶も気づいたのか、俺と同じところに目を向けた。
その目線の先には……
麗「なんなのよ……これ?」
その声に反応して、冴子先輩はテレビのボリュームを上げた。
そこには、緊急報道と書かれているテロップが書かれていた。
生中継のようだ。
女性アナウンサーが言うには、今回の事件は暴動という圏内で収められようとしているようだった。
孝「なんだよ、暴動って……」
それでも、報道は続く。
更に見ていると、報道中に発砲音が鳴り響いた。
警察官が発砲したようだった。
しかも、段々と被害は広がり……
ついには、報道が中止になってしまったようだ。
誰も、声を発することができないでいた。
本当に……ここは現実なのだろうか?
そんな初歩的な疑問を抱くようになってしまった自分がいた。
そして願う。
夢なら覚めてくれと……
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