第2章

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違うチャンネルにも変えてみたが、どこも同じような番組ばかりだった。 しかも、どれも暴動だの反逆デモだの適当な事ばかりを報道していた。 ダンッ! 俺は音のなった方に顔を向けた。 小室が丁度、机の上に拳を下ろしていたところだった。 そして、喋りだす。 孝「それだけかよ!どうしてそれだけなんだよ!?」 俺には大体予想が付いていた。 沙「……パニックを恐れているのよ」 俺の代わりに、沙耶が答えていた。 確かにその通りだと思う。 麗「今更?」 詩「俺は、今だからだと思うんだ……」 俺はみんなに聞こえるように話す。 詩「恐怖というものは意外と単純に起きることなんだ」 俺は軽く息をつくと、再度喋りだす。 詩「恐怖で思考がなくなると混乱を巻き起こす、混乱が起きるということは制御が効かなくなるのと同じことなんだ」 つまり…… 沙「つまり、秩序の崩壊を巻き起こすことになるのよ」 そう、そういうことなんだ。 秩序が崩壊したとなると、人間はどうやってあの死体と戦えばいいのか判らなくなるからだ。 更に番組は続いていた。 報道を要約すると、この事件は全世界に広がっており手の付けられない状況に陥っているらしい。 初めての状況だからか、政府もどう対応すればいいか分からず、終始混乱しているみたいだ。 しかも、色んな地域で一気に起きたので、収集する見込みも無いようだ。 アメリカの大統領はホワイトハウスを投げ出して、洋上の空母にまで逃げたらしい。 ほんと、上の偉い方々は何をやっているんだか…… 更には、戦術的核兵器も用いられるかもしれないという情報まで流れているようだ。 ついには、どの番組も回線が途絶えてしまったようだ。 孝「世界中で……こんなことが」 コ「そんな!?……朝、ネットを覗いたときはいつも通りだったのに」 麗「……信じられない、たった数時間でこんなことになるなんて」 そして、皆の確かめたいことを宮本は口にする。 麗「絶対に、安全な場所って……あるわよね?、きっと、いつも通りに……」 いや、それはありえないな…… これだけの被害だ、抑えられたとして、一体何年の月日が必要になるか。 俺が考え込んでいると、沙耶が否定の言葉を紡ぎ出す。 沙「なるわけないし」 孝「!?」 麗「!?」 それは、完全な否定だった。
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