第2章

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孝「そんな言い方することないだろ?」 詩「いや、沙耶の言うとおりだ。これは……パンデミックに近い現象だからな」 鞠「パンデミック!?」 詩「つまり、感染爆発のことだな、この現象が世界中で起きているという意味だ」 孝「インフルエンザみたいなものか?」 そんな生優しいもので済んでくれたらいいんだけどな…… それから、沙耶が補足の話をしてくれた。 沙「1918年に起きたスペイン風邪は正しくそう」 あの有名な伝染病の話か。 沙「感染者は約6億以上、死者は5000万人にもなったんだから……」 日本だったら、人口の約半分はいなくなる計算になるな 沙「最近でも、新型インフルエンザで大騒ぎになったでしょう?」 インフルエンザも、毎年毎年違う耐性をもって生まれてくるから、対処が非常に難しいウイルスのひとつだ。 ここで、鞠川校医も何か思い出したのか、喋りだす。 鞠「どちらかっていうと、14世紀の黒死病に近いかも……」 黒死病って…… 詩「それって確か、ヨーロッパ全土の人口約3分の1が死んだっていう……」 当時のヨーロッパは、50億もの人口がいたはずだから…… 約15億は死んだことになるな。 孝「どうやって、病気の流行は終わったんだ?」 俺は考える、色々な仮説なら出てくるんだが…… 鞠「様々なことが考えられるけど、人間が死にすぎると大抵は終わりよ?」 詩「感染すべき人がいなくなるから……か」 鞠川校医は正解だというふうに、頷いてみせた。 コ「でも……」 ここで、黙っていたコータが重要なことを思い出させてくれた。 コ「死んだ奴は皆……動いて襲って来るよ?」 そうなんだ。 死んでいるのに、立ち上がって襲いかかってくる。 どこかのホラーに出てくるような映画みたいに…… 人間は普通に死んだら、心臓の動きは停止し、脳に血液が届かなくなり、最終的には脳死として動かなくなる。 つまりだ。 冴「拡大が止まる理由が無い……ということか」 風邪やウイルスの類ではないからな、薬やワクチンで治るとも限らないし…… 鞠「あ!でも、これから熱くなるし、肉が腐って骨だけになれば動けなくなるかも!」 確かにその通りだが……
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