第2章

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冴「どれくらいでそうなるのだ?」 奴らは死んでいるとしても、動いてはいるんだ。 つまり、筋肉繊維は働いているはず、しかも、脳に近い聴覚までもがだ。 すなわち、脳が働いていなければ動かないはずなんだ。 でも、脳が動くはずがない…… 心臓の働きのおかげで、血液が体中に行き渡り、生命活動は行われているんだ。 そんなやつらが、腐って白骨化するかどうか…… いや、そんな暗いことは考えるな! 仮にも鞠川校医は医者なんだ。 予測が外れることも少ないだろうしな。 鞠「えぇと、夏なら8日程度で一部は白骨化するわ……冬なら何ヶ月もかかるけど」 みんなは希望的観測に喜びそうになっていたが…… 沙「腐るかどうか、分かったもんじゃないわよ?」 孝「どういう意味だよ?」 やっぱり、沙耶は俺と同じ考えに陥ったか…… 嬉しいやら、悲しやら 沙「動き回って人を食べる死体なんて、医学の対象じゃないわ」 確かに、沙耶の言うとおりだな。 沙「下手すると……いつまでも」 ここで皆は一旦沈黙した。 こんな中、冴子先輩が語りだす。 冴「家族の無事を確認した後、どこに逃げ込むかが重要だな……」 安全な場所か……、机上の理論なら空の上にでも逃げたい気分だな。 地下シェルターも一時は考えたが、一人でも感染すると、終わりだな。 冴「ともかく、好き勝手に動き回っては生き残れまい」 ここで、皆の目つきが変わる。 冴「チームだ、チームを組むのだ!」 皆はやる気を体で表現し始めた。 宮本は長い棒を勢いよく振り下ろし、肩に乗っける。 沙耶は改めてカバンを持ち直す。 コータは改造釘打ち銃を構えなおす。 鞠川校医は治療道具を持ち出し。 冴子先輩は木刀を構え。 小室はバットを持つ。 俺は両手のドライバーを空中に投げ、手を交差した後、振り下ろすようにキャッチした。 冴「できる限り、生き残りも拾っていこう」 孝「……はい」 詩「そうだな」 俺と小室は肯定した。 麗は作戦を再度聞きなおす。 麗「どこから外へ?」 沙「駐車場へは、正面玄関からの方が一番早いわ」 俺は廊下側の扉に手を掛けた。 そして一言。 詩「行くぞ!」
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