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俺は窓の外を見た。
詩「……あれは!?」
人……なのか?
そいつは、足取りがおぼつかない様子で、真っ直ぐだけを見ており、口をだらしなく開いている感じだった。
俺は直感した。
あいつは……
人間じゃない
そして、放送の続きが聞こえ始める。
「ガシャン!ガチャン!ドスン!嫌だ!ガチャ!助け!ドス!ガチャガチャ!止めてくれ!いだいいだいいだいいだいいだいいだいいだいあ"
あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"ああああああああああああああああ…………ブツン」
放送が終わりを告げた。
詩「っち!?まずい」
俺はコータと沙耶を連れて、教室棟の-反対側に-駆け出した。
コ「し、詩音君!?そっちの方は管理棟に向かう方角じゃ」
沙「平野は黙ってなさい!それに」
詩「あぁ、きっと教室棟は生徒の波で溢れかえるだろうな?」
こんな状況じゃ、安全に避難できるとは思えない。
詩「だから、人が少ないであろう管理棟に向かいそこの出口から脱出する」
ついでに、技術教室や職員室、保健室も近くにあるから何か役に立つ物も手に入るだろう。
俺たちは走った。
聞くことも数少ないであろう怒涛や悲鳴、鳴き声などの声を聞きながら……
沙「人が人を食ってる?悪い冗談もいいとこね……」
詩「あぁ……」
俺は一旦立ち止まる。
コ「あの、どうしたん」
詩「し!」
俺は二人に向けて、人差し指を自分の唇に押し当てる。
俺の前、30mくらいの先に血に塗れているがゆっくりとした足取りをした。生きた人間がブツブツと何かを囁いていた。
その前には、奴らがいた。
俺はただ、この後の結果を知りながらも、ずっと様子を伺った。
奴らの一人が、その生きた人間を引っつかみ、廊下の隅に叩きつけていた。
俺はもう一度走り出した。
その生きていた人間を見捨てて……
コ「あ、あの、職員室には行かないんですか?」
沙「論外ね」
詩「少なくとも-今-は無理な話だな」
コータは不思議な顔をしていた。
詩「よく考えてみてくれ、ただの学校の教師が生徒の避難もろくに行えず、この状況に対処できると思うか?」
コ「で、でも……こんなの……こんなんだから」
すると、途中で沙耶が立ち止まった。
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