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俺も置いて行くわけにも行かず、立ち止まって辺りを警戒しながら二人の話に耳を傾ける。
沙「ねぇ?一つ質問があるんだけど」
沙耶はコータに対して、言葉を投げかける。
コ「っ!?な、なんですか?」
沙「あんた、死にたい?それとも……生きたい?」
コ「それは……」
コータは後ろに視線を向けた。
俺も自然と目線をそちらに向けた。
そこには、横たわっている死体が一つ。
血まみれで横たわっていた。
詩「コータ、見てみろ」
俺は渡り廊下の外を指した。
コータは促されるように外を向いた。
詩「コータと同じ考えの奴が職員室の裏扉から助けを求めてるのが見えるだろう?」
そこには、6人近くの生徒が群がっていた。
俺はゆっくりと、この後の結果になるだろう言葉を紡ぐ。
詩「コータは……ああなりたいか?」
職員室の扉が開け放たれた。
だが……
中から出てきたのは、奴らだった。
そして、時間もかからずに生徒たちは、奴らの群れに飲み込まれていった。
コ「っ!?…………」
最後に、俺の思いを告げる。
詩「沙耶はコータに死にたいか生きたいかと問いかけられていたが、俺は……生きたい」
沙「当然、私も生きたいわけ。よくって?」
沙耶は勢いよくコータに指を指す。
コータは勢いに飲み込まれて、縦に首を何度も動かす。
詩「よし、決まったようだな?行くぞ、二人共!!」
沙「えぇ!」
コ「は、はい!!」
とは、言ったものの、どうするか……
俺たちは、管理棟に入ることには成功した。
そして、曲がり角から周りの様子を伺う。
コ「あの……」
詩「どうした?」
コ「校則違反だけど、二人って携帯持ってないですか?」
沙「私は優等生よ?持っている訳ないじゃない」
詩「すまん、俺も家に置きっぱなしにしてある」
沙「あったとして、どこにかけるつもりよ?」
コ「いや、あの、警察に……」
沙「やっぱり馬鹿ねあんた、これだけの騒ぎよ?誰も電話してないはずないじゃない」
詩「そうだな、沙耶の言うとおりだと思う。それに、サイレンの一つ聞こえやしないしな?」
俺は更に告げる。
詩「もう、どういう状況か分かっただろ?」
コ「ま、街中で、こんな騒ぎが……」
詩「当たって欲しくないけど、多分そうだろうな」
俺は曲がり角の奥をもう一度覗き始める。
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