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べちゃん!
少し大きな音が響く。
と言っても、全体に響く音ではなかった。
そのあとのゾンビの行動が面白いことを示した。
何もないロッカーの方に、無我夢中で歩き始めたのだ。
沙「わかったでしょ?」
詩「あぁ、自分の体に物が当たってもなんの反応もせず、音にだけ反応している」
つまり……
詩「痛覚は正常に動いて無く、聴覚だけ働いている……と」
沙「正解よ、補足すると視覚も働いていないと思うの」
詩「じゃなきゃ、ロッカーにぶつからない、か」
コ「熱や光は……?」
沙「後になれば、嫌にでも分かるわよ」
俺たちは再度確認を行っていると異変が起きた。
詩「コータ!後ろだ!」
俺は言うと同時に、ゾンビに両手の武器を行使して殲滅に取り掛かった。
ざざざしゅ!
右手で一体、左手で一体。
その場で回転して勢いよく右手で振りかぶって最後の一体を突き刺す。
ぶしゅ
俺の真横にいたゾンビが、音もなく倒れる。
コ「一体、撃ち漏らしてますよ?」
詩「お前の為に三体も殺ったんだ、おあいこだろ?」
俺とコータは、静かにハイタッチした。
沙「ほら二人共、仲良くしてる暇があったら足を動かす!」
コ「あの~」
沙「なに?まだ何かあるの?」
コ「歩くの苦手だな~……なんて」
俺と沙耶は無言で歩き出した。
コ「ま、待って下さいよ~」
俺たちは職員室に向かった。
ぶしゅ
ぶしゅ
ざざざしゅざざしゅ
俺は職員室玄関近くで、軽い無双状態になっていた。
詩「ほいほい、ほほい」
ざざざしゅざしゅざしゅ
コータと沙耶は、職員室前でゾンビを殲滅していた。
沙「もう!これじゃ特性なんて調べられないじゃない!」
確かに、これじゃ、ろくに調べることもできないな
コ「高木さんも戦ってください!」
沙「なんで私がそんなことしなくちゃいけないのよ!!」
沙耶の持ってるバックには、レンチとか入ってるだろうに……
コ「マガジンが空になりそうなんですよ!?」
沙「っ……!!だからなんなのよ!すぐに詰め替えたらいいでしょ!?」
俺は思わず、立ち止まって凝視してしまった。
沙耶の後ろに……一体のゾンビが近づいていた。
俺は無我夢中で沙耶に向かって叫ぶ。
詩「沙耶!!後ろだぁぁ!!」
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