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「ほら、覚えてる?」
「覚えてるよ、初めて苺華と逢ったのここだよね。」
高校の校舎…すっかり埃を被った教卓を撫でながら苺華が言った。
「取り壊しって…寂しいね。」
私たちの通っていた学校は有名人も居るし知名度も規模もそこそこあったのだけれど…
なくなってしまうのだ。
「隣の北高と合併して、新校舎建てるんでしょ?」
私が聞いた話はこうだ。
教卓の横の一段高くなっている所へ腰掛けて…
苺華が笑った。
「覚えてる?入学式の時ここで先生つまづいてさ。」
「あっ!それ覚えてる…」
高校時代の思い出は沢山あるものだ。
私は窓を撫でて言った。
「私ここからよく外を眺めたっけ…」
苺華が不意に私の後ろに立つ。
心がざわついた。
あれ?この光景を…私は知ってる。
「雨だったよね。あの日は…」
苺華は優しく笑った。
「覚えてるものね。やっぱり…」
「忘れないよ。告白された日だもの。」
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