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「私…ずっと前から貴女が欲しかった……」
そう言われた瞬間、全てが鮮明に思い出された。
「びっくりしたなぁ。それまで声もほとんど聞いた事なかったもの。嬉しかった。今でも覚えてる…」
苺華は抱きついて聞いてきた。
「私で良かった?」
「良かったよ。あの時の選択で私はかけがえのない大事な人を手に入れたからね。」
私は色んな思い出の濁流に感情が溢れ出しそうだった。
私の高校時代、ただ過ぎていくだけだった日々に苺華が色をくれた。
もし、あの日折りたたみ傘かなにかで帰ってしまっていたら…
もし、あの日苺華に運命的な何かを感じずに断っていたら…
もし、苺華と出逢えなかったら…
私の人生は全く違う物になっていたと思う。
「苺華って…やっぱり凄い。」
「ううん、凄いのは…藍子だよ。」
不意にある事を思い出した。
「確かさ、私の斜め前が苺華だったよね?」
「そうね…懐かしいわ…」
2人で椅子に座る。そして、不意に振り返った苺華を見て…
「可愛いぃ…」
「ああ!!覚えてたのね!それ!」
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