時には昔の話を

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「んで、その写真って?」 苺華が言うと、真琴は凄く大きな缶の箱を出した。 「ああああっー!」 私は思わず大きな声を出した。 数百枚に及ぶ真琴の私達コレクション コレは覚えてる。 普段のワンシーンからデートの特別な瞬間まで 真琴がファインダー越しに切り取った瞬間を、私達はいつしか一緒に楽しんでいたんだ。 そして、見つけた。 観覧車の天辺でキスしたあの時の写真。 苺華が思わず涙を流した。 「ファーストキス…藍子で良かった。」 私は病院で撮った写真を見て涙を流した。 点滴をした痕がなかなか消えない苺華の腕 そして、それでも笑う苺華と私… 「この時…しんどかった。苺華が居なくなっちゃう気がしてた。泣きそうになった。」 だから毎日、病院に通ったのを覚えてる。 「うわ…馬鹿じゃないの…泣くじゃん…」 なんて、真琴が言うもんだから…みんな泣いた。 覚えてる。全部覚えてる。 コレは全部私達の大事な思い出で… コレは全部大事な記憶で… だから…
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