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『ずっと、居てくれた…よね?
錦はずっとそばに居てくれた…朔はこの、錦の魂と共に戦ってきた。
錦と一緒に皆を守ってきた。
だから…謝らないで?』
カシャ…ン
かつて新見の物であった…譲り受けた刀を愛おしげに触れる。
『魂は共に』
朔はその言葉を拠り所に過ごしていた。
不安な日々を送っていても刀に触れば落ち着いた。
新見は最後の約束通り、自分の傍に居てくれたのだと微笑む。
じわり
胸が熱くなる…新見は再び朔をきつく抱きしめた。
…情けないところを見られたくなくて。
朔は僅かに震える肩に顔を埋め、その背に手を回す。
『これからは、ずっと一緒だよ』
『そう…そうだな。もう、離れねぇ』
暫し見つめ合う瞳、今はただ、目の前に居る愛しい人を目に焼き付ける。
どちらからともなく交わす口付け。
嗚呼…やっと……やっと触れられた―
頬に伝う暖かなソレは果たしてどちらのものなのか。
朔と新見―
二人に幸せが訪れた。
長い、長い旅路の果てに………
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