幸せの果て

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『なんじゃ、五月蝿い』 新見の大声に芹沢が眉をひそめる。 『待て待て待て! 朔と【俺の】息子っ!』 鼻息荒く復活した新見が 〈どうだ〉 と言わんばかりにふんぞり返っていた。 暫し眺めた後、芹沢とお梅は再び朔に向き直り 『………で、朔。名はなんと?』 『せや、なんて言わはるん?今はどうしてるん?』 嬉しそうに話を戻した。 『………イイヨ、ベツニ… ドウセ、オレナンカ………』 愉しげに会話する三人に背を向け地面に〈の〉の字を書き出した新見。 そんな様子に顔を見合わせ微笑み合う。 『錦っ、おいでよ!』 『何をしておる、早ようこんか』 『意地悪して堪忍なぁ』 その声に新見は鼻を垂らし、満面の笑みで加わった。 時間はたっぷりある。 皆は尽きぬ話に華を咲かすのであった――
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