第5話

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◆◆◆◆◆ 放課後。 いつもと同じ場所に蓮さんの車が停まっているのを発見した私は、麗奈達に帰りの挨拶を告げて教室を飛び出した。 未だにこの瞬間は、胸が高鳴る。 飛び跳ねるように階段を駆け降り、昇降口へと向かう。 上履きを脱ぐ僅かな時間すら惜しいと思いつつ、大急ぎで靴に履き替えて私は再び蓮さんの元へと駆け出した。 白い高級車に凭れるようにして煙草を吸う蓮さん。 その光景も今では定番となりつつある。 私が聖鈴に通い始めて、ほぼ毎日、欠かすことなくそれは繰り返されていて見慣れたもの。 だけど、蓮さんに向けられる羨望や尊敬の入り混じった視線や歓声は止むことがない。 それどころか日増しに多く、強くなっているような気がする。 正直、たまに不安になる。 本当に蓮さんは私の彼氏なんだろうか?と……。 本当に私なんかが蓮さんの隣にいていいのだろうか?と……。
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