第5話

14/40
前へ
/40ページ
次へ
私がそうしたのにはちゃんと理由がある。 それは昨日のこと。 チョコレートを冷蔵庫で冷やしている間に始まったティータイム。 美味しい紅茶を飲みながら、私たちは談笑していた。 会話の種は翌日に控えたバレンタインデーの予定について。 「私は、放課後アユムとカラオケに行って、そのあとご飯を食べに行くんです」 「私はヒカルの家に行くかな」 「私なんかまた焼肉だよ」 「ケンさんって本当に焼肉好きだよね」 「そうなんだよね。いつもなら、即、却下するんだけど明日はバレンタインだからそういう訳にも行かなくて……」 「大変ですね。美桜は?」 「私? 私は寒いの苦手だから多分、家から出ないと思うよ」 「ご飯も家で食べるの?」 「うん。夏は外食が多いけど、最近は私が外に出るのを嫌がるから蓮さんが作ってくれたり、綾さんがお弁当を作ってくれるから」 「そうなんだ。てか、美桜ちゃんって寒いの苦手なんだ」 「うん。寒いと動くのも億劫だし、よくコケちゃうし」 「は!? 寒いとコケるの!?」 そう尋ねたのはアユちゃんだったけど、葵さんと麗奈も驚いたように瞳を丸くした。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1517人が本棚に入れています
本棚に追加