第5話

18/40
前へ
/40ページ
次へ
「……あの、葵さん?」 「美桜ちゃん」 「は……はい!!」 「まさかだとは思うけど……」 「な……なんでしょうか?」 「それだけなの?」 「それだけ? なにがでしょうか?」 「渡す時に言う言葉は『はい、どうぞ』だけなの?」 「そ……そのつもりですけど」 「……」 「ダ……ダメですか?」 恐る恐る尋ねてみると 葵さんはニッコリと微笑みを浮かべた。 それを見た私は、自分の言動が間違っていなかったと確信し、ホッと胸を撫で下ろした。 だけどそれも束の間 「ダメに決まってるじゃない」 優しすぎる口調の葵さんの言葉に自分の愚かさを思い知らされる羽目になってしまった。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1517人が本棚に入れています
本棚に追加