●恋

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着替えて、急いでミツとホテルを出た。 朝のホテル街は夜の淫靡さはなりを潜めて、それがかえって後ろめたさを感じさせる。 朝の空気は何か透明で、7月の割には結構涼しい。 何をしゃべったらわからなくて、ミツと渋谷駅の方向に向かう。 そんなモジモジしていたら、いつのまにスタバ前に到着してしまった。 ガラス越しにもう亜利沙が到着して、コーヒーを飲んでいる姿が見えた。 「友達もう来てる?」 「あ、はい」 「じゃあ、もういきな」 ミツはそう言って、私の背中を押し出すように前にそっと押した。 1歩足が出る。 そのまま歩き出すしかないような空気。 私はおずおずと歩き出す。 途中で振り向くと、ミツはにこっと笑って、軽く手を振ってくれた。 私も軽く手を振った。 ミツは安心したように渋谷の人混みの中に消えていった。 何だか後ろ髪ひかれるような、ものすごい寂しさを感じながら、私は歩調を速めた。
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