●出会い

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「今日は金曜だし、クラブ行くよ」 A・LOVEで注文を済ますと、亜利沙が早速発した一言。 一瞬意味がわからず、ポカンとする。 「へ・・・クラブ・・・?」 「そ!行ったことないの?」 「・・・ないっていうか・・・」 クラブって何さ? 素朴な疑問。 だってクラブっていろいろあるじゃない? 亜利沙が私の疑問を察したようで、少しあきれた顔をする。 「ほら、クラブって酒飲んで、ガンガンに踊るとこ。私の行きつけのとこあるからさ。金曜が一番盛り上がるし行こう」 「えぇ~~そういう方面のクラブ?」 「そういう方面って何?普通クラブってそういうとこでしょう?」 亜利沙が笑って言う。  私は当然ながら、そういった場所に足を踏み入れたことなどない。  だってクラブって言われても、どんなとこだかわかんなかったくらいだもん。 「結構いい曲かかるんだよね。私も最近行ってなかったし、つきあってよ」 「・・・う~~ん。でもさ。行ったことないしさ」 「誰だってみんな行ったとこないとこから、行くんじゃん」 「まぁね・・・」  すごくまっとうな亜利沙のお言葉。  だけど人前で踊ったりするなんて、恥ずかしいし、抵抗あるなって思った。  踊りなんて、中学校の時のフォークダンスくらいしか経験ないし。  さずがにこんなこと亜利沙にはいえないけど。  とりあえず気が進まない。  亜利沙は行きつけっていうくらいだから、結構慣れてる感じだし、何も抵抗はないんだろう。  亜利沙は東京生まれの東京育ちで、結構それなりに華やかな学生生活を送ってきたっぽい。  亜利沙の卒業した短大はお嬢様短大として有名で、4大の男の子の憧れの学校だってきいた。  サークルもさかんだったみたいだし。  亜利沙は、華やかで目鼻立ちがぱっちりしていて、美人だ。  明るめの長い茶色の髪をふんわりと巻いている。  ネイルもいつもきれいに整えてあって、会社員らしく地味ながらもかわいいアートもしている。  いかにも都会の人って感じ。  たぶん亜利沙とは会社の同期じゃなかったら絶対話すこともなかったし、仲良くもならなかっただろう。  だけど見た目とは違い、亜利沙は話してみると、気さくで姉御肌なサバサバした女の子だった。  本当に人とは話してみないとわからないもんだ。 だけど時々その都会人っぷりに、私にはついていけないとこはかなりあるんだけど。 「でもさ、そういうとこに着ていく服ないし・・・」 なんとか必死に行かない口実を探そうとする。 「じゃあさ、私がクラブ仕様の服を貸してあげる。クラブ前に私のマンション寄ればいい」 「・・・・・・」  これ以上どう断ればいいのか、誰かわかるなら教えて欲しい。  私はわからない。  あきらめて、私は力なくうなずいた。
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