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「ねぇ、本当にこんな格好で行くの?」
「さっきから同じ質問、5回目!!
もう着ちゃって、家も出て、クラブ向かってるんだからいい加減あきらめなって」
数歩前を歩いている亜利沙がうんざりした表情で、ふりかえりながら言った。
だって、これって正直露出狂としか思えない。
亜利沙に半ば無理矢理押しつけられるように貸してもらったのは、ピンクのワンピース。
淡い色でふんわりとして、清楚系と思いきや、丈は太ももの半分くらいまでしかなく、おまけに胸元は谷間が見えそうなくらい開いている。
確かに着る前はかわいいと思ったけど。
着てみたらこんな風になるとは予想もつかなかった。
「でもさ、丈短すぎるし、絶対私に似合ってない」
「大丈夫だよ。似合うと思ったから、私がこれをなぎさに勧めたの。なぎさは何気に足も長いし、スタイルいいんだから。胸はないけどね」
グサリ。
さりげなく毒吐かれた。
「こういう少し肌を出した格好の方が似合うよ。いつもリクルートスーツに毛が生えたような地味な格好しかしてないのもったいないって」
グサリ。
ダブルで傷ついたんですが・・・
リクルートスーツに毛が生えたって、言い過ぎじゃない!?
もちろんそんな文句を亜利沙に言えるはずもなく・・・。
私はパンツが見えそうなくらい短いワンピースの裾を少しでも長く見せようと下にぐいぐいとひっぱる。
だけどそんなことで裾が短くなるはずもなく。
無駄な努力だ。
一応中にインナーは着ているけど、全く意味がない。
下を向いて歩いている視界の隅にうつっていた亜利沙の足がぴたりと止まった。
顔を上げると、亜利沙が笑って指を指している。
「着いたよ」
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