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亜利沙の行きつけだというクラブはとても目立っている。
大きい看板。
建物全体に交互に張り巡らされたピンク色とグリーンのカーテン。
それを下と上からライトアップしているオレンジの光。
つい目を引いてしまう。
何だかおしゃれないかのも都会って感じのする建物、場所。
店の外には驚いたことに客が並んでいる。
クラブって並ぶものなのか?
私たちも並ぶのかと思いきや、亜利沙は普通に並んでる客を追い越して、中へと入っていく。
「あ、亜利沙、みんな並んでるけど!」
「大丈夫だから」
戸惑う私。
だけどピンクのど派手なTシャツを着た受付の店員さんは何も言わずに、普通に中に入れてくれた。
もしかして亜利沙、顔パスってやつか!?
さずが行きつけ!!
とりあえず階段で地下に下がる。
階段の横にずらっと並んでるロッカーに荷物を入れた。
その時から音楽がガンガン鳴り響くのが聞こえて、私は既に場違いなような気がする。
しかもワンピ露出狂並だし・・・
荷物を入れると、亜利沙が慣れた足取りで階段を降りていく。
階段の終わりに大きい煉瓦色の扉があった。
そこがまるでゴールのように。
私たちが近づくと。黒服の人が「いらっしゃいませ」と言って、ドアを開けてくれた。
その瞬間、耳に飛び込んできた鼓膜が破れそうな位の大きな音。
思わず耳をふさぎたくなってしまった。
そして溢れる人、人、人。
真っ暗な空間で、青、緑、ピンクの光が落ちつきなく空間を照らしている。
「ちょっと早い時間だからかな。今日は人少ないな」
独り言のように言う亜利沙。
っていうか、これで人が少ない!?
かなりあふれかえってるじゃない??
「そうだ、なぎさ」
「えぇ~~!?」
音楽がバカでかいので、聞き返す声も大声になってしまう。
亜利沙の声も私に負けずに大声だ。
「ここのクラブ結構広いから、行方不明になんないでよ」
「えぇ!」
方向音痴として名高い私だったりする。
行方不明は日常茶飯事だ。
「とりあえずここのメインフロアはオールミックス。
ミーハー系のはやりもんは何でも流れるから。。
そしてここをまっすぐいったとこにある階段を上がっていくと、サブフロア。ヒップホップやR&Bが流れるから。
私はこっちが気に入ってるんだ」
そんなこと一気にまくし立てるように言われても、私はどうしていいのかさっぱりわからない。
そもそも意味すらよくわかってない。
「とりあえず今日は私にしっかりついてきなさい。行方不明にならなければ問題ないんだから」
力強い亜利沙の言葉に私はうなずいた。
こんなとこで一人にされてたまるもんか!!
一度はぐれたら、絶対合流できる自信ないもん。
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