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90分後―――
“なんでこんなことになってしまったのだろう・・・”
私は泣きそうに困惑していた。
いや、半泣き状態です。
こんな人がたくさんいるのに、この中で孤独なのって私くらいじゃないの?
クラブに慣れない私に気を使って、亜利沙がバーカウンターでお酒をおごってくれた。
私もこんな状況に飲まずにはいられず、どんどん酒を飲みまくった。
口当たりがいいし、酒でも飲まないと緊張なんてほぐれやしないと半ばやけになって飲みまくりました。
途中から何杯飲んだかわからなくなった。
私と同じペースで亜利沙も飲んでいた。
酒が強い亜利沙の顔がかなり赤くなっていることに気づいたとき、ある音楽がかかった。
フロアの歓声が一段と大きくなった。
「私、この曲大好き!!」
そう亜利沙が叫んだのと、チェアから立ち上がったのはほぼ同時だった。
そしてフロアへ飛び出していったのだ。
「え・・・えぇ~~!?」
酔いも一気に冷めた瞬間だった。
「あ、亜利沙!ま、待って」
私も急いでチェアから立ち上がり、亜利沙の後を追おうとする。
だけど亜利沙はものすごい人混みにもかかわらず、その人並みを器用にすり抜けて、フロアの奥へ奥へと入っていく。
その一方私は全く人混みに慣れていないので、人にぶつかりまくって、全然前に進めない。
みんなフロアでは踊っているから、左右に揺れたり、上下に揺れたり、いきなり手を上げたりするから、動きが全く想像つかないんだ。
DJの近くに行くなんて、とんでもなく、私はフロアの後方で立ち止まることしか出来ない。
フロアの中央にすら行けない。
“ど、どうしよう・・・”
仕方なく、さっき亜利沙と座っていたチェアに戻る。
だけど当然もう他の女子(&男)に座られており・・・
途方にくれた瞬間だった。
とりあえず、この亜利沙が好きだっていった曲が終われば、この場所に戻ってくるだろうとチェアの近くで立って待つことにした私なのだった。
あんまりこういうダンス系の音楽は知らないし、低音がドンドン鼓膜を刺激して、私には気持ちがいいもんじゃない。
しかもこのなじめない異空間・。
何か居心地悪くて。
モゾモゾしそう。
実際ワンピの丈が短くて、落ち着かずにモゾモゾしてたんだけど・・・
「踊らないの・・・?」
いきなり横から声が聞こえて、私は飛び上がるくらいに驚いた。
「そんな驚くか?」
声のする方向を見てみると、私と同じ年くらいの線の細い男の子が立っている。
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