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目が合うと、にこっとしたので、私に話しかけてきたのは確実なようだ。
これって、もしかして、もしかして、噂のナンパって奴ですか?
ナンパなんて地元の夏祭りでグループで声かけられた時以来かも。
「もしかして一人?」
「い・・・いえ。友達と来ました」
思わずどもってしまう。
なんて答えたらいいのかわからない。
「そっか。俺もツレと来たんだ。君は友達は?」
「たぶん、踊ってます」
「君は踊らないの?」
「はい、そういうの苦手で・・・」
じゃあ、なんでクラブなんかに来たんだよ?って自分に突っ込みたい返答だ。
「じゃあ、俺らは飲みますか!」
「は!?」
「いいじゃん?ここ暑いし、のど渇かない?」
確かに。
さっきから汗がはんぱないし、のどはかわきまくっている。
だけど、さっき亜利沙と一緒にドリンクチケットは使い果たしてしまったあげくに、持ってきた数枚の1000円札もお酒に消えてしまった。
だけどその人は私の思惑がわかったのか、にこりと笑って、私の手をつかんで言った。
「大丈夫!おごるから」
私は条件反射のようにうなずいた。
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