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びっくりして後ろを見ると、そこにいたのは真人だった。
「……よお、奏太
久しぶりだな」
「あっ!真人さん!
ちわーっす」
真人に気づいた奏太が返事を返す。
「ってかあれ?真人さんって南三高だったんだ?
真人さんならもっと上行けたんじゃないんですかー?」
奏太がそう問いかける。
まあ、そうだよね。
私もずっと疑問だったし。
「ここのほうが近くて便利だろ」
真人の答えは私が聞いたときと同じだ。
「それより奏太、こんなとこにいるってことは部活探してるんだろ
来いよ」
「えっ!?俺高校は野球やらないっすって先輩!引っ張りすぎですよ!いてて!」
なにやらぎゃーぎゃー騒いでいる奏太をやや強引に連れていく真人。
なんだか少し機嫌が悪そうだ。
「あっ!成さーーん!またねー!」
引きずられながら奏太がこっちに向かって大声で叫んでいる。
……返事したくないな。
ってかまた会いたくないし。
まあ、こんなときは、無視だよね。
と、自分の中で結論を出し、黙って奏太に背を向ける。
「鈴、うちらも部活行こう」
いつの間にか戻ってきていた鈴に声をかけ、テニスコートへ向かう。
……まあ、会おうとしなければそんな狭い学校じゃないし、頻繁に会うことはないよね。
奏太と同じ学校というだけで気が重いが、そう結論付け、これ以上は考えないことにした。
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