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「それはそうと!」
鈴ががばっと顔をあげる。
思ったより傷は浅かったようだ。
「とうとううちらも先輩だね!
ってことはうちらにも後輩が出来るってことだよね~」
鈴はそういってにやにやしている。
後輩が出来るのってそんなうれしいもん?
「だって!」
成の心を読んだように鈴が声をあげる。
急な大声に思わず肩がびくっとする。
「これでもうエンドレス球拾いから解放されるんだよ!?」
「エンドレス球拾い?
…ああ、そっか」
我らがテニス部にはそれなりに先輩がいるもんだから、先輩がサーブ練習中は一年生が永遠と球拾いをやらされることがよくある。
しかし成は人数の関係上先輩とペアを組んでおり、先輩のグループに混ざって練習している。
先輩とペアだといっても自分としては同学年の子と練習したいのだが、なぜか先輩が許してくれない。
ペアだからっていつも一緒にいるんじゃないんだから、練習メニューが別でもいいと思うんだけどなー…
「成はあのエンドレス球拾いの恐ろしさを知らないのか!!」
すごい顔でこっちを見てくる鈴。
「いや、でも入部したての頃は私だって球拾いしてたし…」
「あんなんじゃないよ!
成が先輩とペア組んだあとくらいの時期からもうすっっっごく大変だったんだよ!!」
「ああ…そうなんだ;」
鈴の剣幕に押されて、微妙な返事しか出来ない。
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