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「成ずーるーいずるいずーるーいー」
最初はちょっと申し訳なく思っていたがこうも繰り返されるとやはりいらっとくる。
「成ずーるー…いたっ!」
ぺしっと音を立てて鈴の頭をはたいた。
「うるさい鈴」
「あーもー成のいけずー」
「意味分からないから」
鈴はときどき理解できない。
「おはよう、今日も楽しそうだな西條、金子」
鈴と言い合っていると声をかけられ、どきっとした。
「あ…おはよ」
「おはよー武井くん」
私たちに声をかけてきたのは武井真人(たけいまさと)。
真人も鈴と同様小学校からずっと一緒である。
はっきりいって真人の実力を考えるとこの高校じゃもったいない。
ずっと不思議に思っていていつか聞いてみたときは
「近いから楽じゃん?」
という答えが返ってきた。
なんとなく腑に落ちないが真人と同じ学校に通えるのは嬉しい。
本人に思いを伝えるなんてしてないが、成はずっと真人に思いを寄せていた。
鈴と成の会話に真人も加わり、他愛もないやりとりをしてると あっという間に一時間目の開始を告げる鐘が鳴った。
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