Darjeeling

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「違います」 笑顔で即答されてしまった。 え。 そんな爽やかに断られると、リアクションに困るのですが。 しかもその笑顔が嘘臭い。 無駄にイケメンな分、さらにね。 「じゃあ、どうして?」 「見えるんです」 またまた彼は笑顔で言った。 「・・・・・・・・はい?」 何を言っているんだ、この人は。 何が見えるのだ。 そもそも今までの会話を通して、なぜ見えると言う単語が出てくるのか? 「えーと、見えるって何が・・・?」 「記憶です」 「・・・・・」 この人大丈夫? どこかで頭打ったのかな? 記憶が見えるとか無いでしょ。 何? あれですか? 中二病とか言う・・・ 「・・・言っておきますが、中二病ではないですよ」 「ははははは~」 気付かれてた。 「私は触れたものの記憶を見ることができます」 「そんなこと─────」 ─────あるわけない。 そう言おうとした私の言葉を遮るように、彼は言った。 「ありますよ。現にあなたの記憶を言い当てたわけですし」
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