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「・・・いつ見たの?」
彼が真面目な顔をして話すから、私も少し真面目に聞いてみることにした。
「カップを渡したときに、あなたの手に触れましたよね?・・・その時です」
たったそれだけ?
「本当に見えるの?」
「はい」
うーん、納得出来ない。
現実味がないし。
しばらくして、私は口を開いた。
「あなたは、触れたものの記憶を見ることが出来るんですよね?」
「はい」
「なら、私の名前を当ててください。ただし、私には触れずに」
「分かりました」
私の言葉に頷くと、彼はカウンターに置いてあるカップを手に取った。
あれは、私がさっき使ったものだ。
「・・・・・」
一体何をしているのだろうか?
黙ってみていると、彼は唐突に言った。
「斎藤 詩音(さいとう しおん)」
「・・・当たってる」
凄い。
本当に私の名前を当てちゃった。
「どうやって見たの?」
「あなたの使ったカップから、あなたの記憶を見ました」
「えっ!?私が触った物からも見ることが出来るの?」
「はい」
普通なら、信じられないけど・・・
「これで、信じてもらえましたか?」
「・・・・・」
あんな事されたら、信じるしかないでしょ。
・・・条件出したの私だしね。
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