129人が本棚に入れています
本棚に追加
「ああ、こいつの剣を仕立ててほしくて」
ラケルにの後ろで隠れるように立っているルアンに、男が目を丸くする。
「なんだぁこいつは、隠し子か」
「そんなわけないだろ。色々あって王兵候補として面倒見ることになったんだ。まだ体力はないし世間知らずなところはあるが、魔力は優秀。有望株だぞ」
「ふーん……王兵候補……王兵!?」
男がまじまじとルアンのことを見つめてきて、さらに縮こまってしまう。
「確かに魔力の質は良さそうだが、これは……使えるのか?」
「今は使わせてない、危ないからな。体力つけてもらわないと」
ラケルの言葉に何度かうなずいて、ニッと笑った。
「オーケー。詳しい話は今度聞くとして、今は注文を受け付けてやる。坊ちゃん、俺はガイアだ。よろしくな」
「よろしくお願いします……あ、えっと、ルアンです」
着いてこいと奥に案内される。店内は大小様々な武器が並べられていて、ルアンは興味津々といった様子。奥の部屋は武器を試すことのできるスペースになっていて、実際のお店よりも広いかもしれない。
「そんじゃちょっと待ってろ。お前に合いそうなサンプル持ってくるから」
そう言って、お店の方へと姿を消す。少し緊張した様子のルアンに、ラケルは微笑んだ。
「そう気張るな。言動はきついかもしれないがいいやつだし武器商人としての腕も確かだ」
「うれしいこと言ってくれるじゃないか」
戻ってきたガイアがそう言って、ルアンの前に三振りの剣を置く。
「とは言っても、量産品は子ども用すくねぇんだ。今回はオーダーメイドだろ? この中のやつがしっくり来なくてもなるべく要望聞いてやるから」
子どもはまだ魔力も身体能力も個性に大きな差が生まれない。いわゆる「初めて」の武器はオーソドックスなものを手に取る者が多いため、種類は少なく用意されている。
「とりあえず一刀ずつ手に取ってみてくれ」
最初のコメントを投稿しよう!