第5話

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「ありがとう。 助かった。 俺は映画監督の一応…卵。 まだ代表作と言える物は無いけどね… できれば今度は、 撮影現場で再会したいモノだね。」 数時間、同じ空間にいただけなのに、 なんか、好感の持てる若者だった。 最初のイメージだけだと、 解らないものだと実感したんだ。 最初に遙人に会ったとき。 そんなに売れてるといった感じじゃなかったのに、 あっという間に大スター。 なにがそんな風に変わったのか。 それも見てみたい気がしたんだ… 門の前で待つ。 入りも歩きだったからきっと帰りも歩きだろう。 もし、誰かに送ってもらうとしても、 ここは通過しなきゃならない。 警備上、入り口はひとつだ。 広い撮影所をここまで歩くのに数分は掛かるだろう。 入ってたから知ってる。 でも、なんで歩きなんだろうか… あれだけ売れてたらマネージャーが運転して送り迎えぐらいするだろう。 そんなことを考えてたら、 姿が見えた。 俺を見つけて駆け寄ってくる。 最初の言葉が、 「なんっすか?」 それが挨拶か? 俺が歳を取ったのか、 そんな若者の言葉遣いが、 エラく気になるんだ…
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