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その後の会話は無く、辿り着いたのは、一つの大きな扉の前。
プレートにMASTER ROOMと彫り込みがある。
「…私も?」
何と無く入りたくなくて、ローゼンを見上げるも、あっさり肯定される。
そのまま、軽いノックをして、返事が聞こえるや否や扉を開く彼。
逃げる間も無く招かれたその部屋は、意外にシンプルな部屋だった。
置いてあるものは書斎卓とゆったりとした椅子、そして対となるソファーと、テーブルのみ。
装飾の類が一切無いその部屋のソファーで、優雅に何かを飲んでいる美しい女性が一人。
「あら、早かったのねぇ。エルノアは修羅部屋かしら?」
その言葉にローゼンが頷くと、女性はにっこり笑って頷いた。
そして彼女が軽く指を振ると、ティーカップが二つ、机の上に現れる。
「取り敢えず休憩しましょう。詳しい話はその後ね」
終始にっこにこの女性には、何故か有無を言わせないオーラがあった。
こちらにしてみれば、早く図書館へ戻りたい。
折角集めた書物はまだ半分しか目を通していない。
今日は一日本で時間を潰すつもりだったのに…
どうやらそうさせては、くれなさそうだった。
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