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渋々ソファーに掛けると、また女性が指を振るう。
するとティーポットが現れて、温かい紅茶を二つのティーカップに注いで消えた。
「空間魔術…ですか?」
にこにこ笑って紅茶を進める彼女も一応ギルドの長。
それを踏まえて少し語調を変えると、
「あら、普通に話してくれて良いのよ。何だか慣れてない様だし」
直ぐに見破られてしまった。
「ありがとう」
言葉を返すと女性はにっこりと微笑んだ。
「自己紹介がまだだったわね。私はセレス・フィーナ。
この銀翼のギルドマスターをしているの。
属性は全属性ってことになってるわ。基本的4属性と特殊5属性。希少属性を幾つか使えるの。
魔力量はそうでもないんだけどね」
告げて、優雅に紅茶を一口。
「で、今回のことだけど…」
そう、セレスが口を開くと、ローゼンが簡潔に今回の一連の流れを説明した。
面倒だったのか、必要なかったのか、開口一番飛び出したのは今日の出来事だったけれど。
ギルドマスターは相変わらずにこにこしたまま報告を聞き終わり、そしてこちらに顔を向けた。
「えっと、ルナさんね。見た感じ、魔術の使い方を完全に理解出来てないようだけど…何処かで勉強した?」
流石に今日図書館で、とは言えないので首を振ると、セレスの顔から笑みが消えた。
「貴方、魔力がどれ程危険なものか分かっていないようね?
不安定なまま、使い魔と契約できたのは才能にせよ、扱いきれない力を抱えているのは、その人自身が爆弾も同じ。
いつ暴発するか分からないのよ?いいかしら?貴方は……」
それからセレスの説教は延々続き。
ローゼンが哀れみの視線を向けてくるようになった頃。
何故か魔術学園の入学手続きまでさせられていた。
彼女曰く、エルノアとローゼンも、国の規則に従って普段はここにいるのだとか。
序でにギルド勧誘までされたので、そこは丁寧に断っておいた。
飛び級試験とか、あるかな。
考えるのは、そんなこと。
やがていつの間にか日が落ちていた為に、ギルドの休憩室を一部屋借りて、今日はそこで寝ることになった。
夕食後、再び顔を見せたマスターが、転入は一週間後だと告げて消えた。
無駄に早い仕事を恨みながら、ため息を一つ。
明日は学園について調べようと心に決めて、少し早めに眠りについた。
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