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あれから一週間。
私は殆ど毎日図書館に通い続け、必要な知識は粗方身に付けた。
学園の短期卒業の方法も知った。
後はそれを、学園の長が許すかそうでないか。
因みに、先日捕まえた犯人達が口を揃えて言うのは、“雇われた”ただ、それだけ。
ということは、首謀者も幹部も、まだ捕まっていないことになる。
「ルナー、遅刻するよ」
そして、捕えられていないのなら依頼達成にはならないらしく。
一週間護衛役として側にいてくれた彼等とは、妙に仲良くなってしまった。
これ以上、枷が増えると旅に出るのが辛くなる。
それは、わかっているのだけれど。
「うん」
返事を返しながらも、門を潜って直ぐに広がる幻想的な光景に目を奪われた。
磨き上げられたかのような、真っ白な校舎。
そこへ続く並木道は、青い華を咲かせる木々で彩られ、舞い落ちる花弁が青い絨毯を作っている。
綺麗、なんて言葉では表せないほどに神秘的な光景。
けれど、毎日通っている生徒達は、気にも止めずにスタスタと校舎に入っていく。
「遅れるって言ってるの、分らないの?早く!」
やがて痺れを切らしたエルノアに腕を引かれ、鋭い視線が突き刺さったところで我に返った。
と同時に憂鬱。
ここでも、嫉妬の嵐に吹かれ続けるのかな。
そんな思いから、ため息が漏れた。
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