第2話

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朝の学校はとても静かで、自分の足音だけが響いて落ち着かない。 校舎4階の端にある理科準備室の前で 深呼吸をひとつ。 トントンッと、扉を2回ノックをすると。 「どーぞ」 中からの先生の声に、鼓動が早くなる。 「失礼します……」 暴れる胸を抑えながら、初めて入る準備室は、独特な薬品のにおいがした。 「昨日はドーモ」 細長い部屋の奥で振り返った先生は 無表情で、さっきとは違う緊張が走る。 「ごっ、ご迷惑おかけしました」 「ん。座れば?」 最上級に頭を下げていた私は、 その言葉に頷いて先生の向かいに座る。 コトリ、と机の上にふたつのコーヒーが置かれた。
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