第2話-2

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******* 公園の駐車場に着くと、 一台の黒いRV車がエンジンをかけっぱなしで停まっていた。 私が近づくと、エンジン音が停まる。 「ドーモ」 そう言いながら、運転席から降りてきた先生に、ドキッと胸が跳ねた。 「こ、こんばんは」 「ん」 先生が鍵をかける音が、ピピッと鳴り響く。 不意に振り返った先生が、フッと表情を崩した。 「走って来たの?」 「えっと、運動がてら」 あがった息が見つかり、照れ隠しに 笑ってみせる。 「じゃあ運動ついでに、も少し歩く?」 先生が顎で公園内を指した。 池に外灯のオレンジが、ユラユラと反射している。 先生と……お散歩……。 何とも言えない胸の高鳴りに 自然と顔がほころんで、頷いた。 そんな私を見て、少し表情を和らげたような気がする先生の背を追う。
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