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「リカ……それは、采女怒るよ?」
「とにかく!!
私はまだ、冴島信用してないから!
私のせいで郁が悪魔の餌食になるくらいなら、こっちが先に仕留めてやる!」
そう言って、高らかに拳を振り上げるリカを、頼もしくも不安にも感じた朝だった。
「ーーーーーーはい、
じゃあ今日はここまで。
来週ソクラテスの思想について小テストするからなぁー」
おじいちゃん先生ののんびりした声に
ハッと黒板に向き直る。
私が校庭の桜の若葉に心奪われていた間に、とっくに授業は終わっていたみたい。
残すはHRのみ。
先生が去った後のザワザワした教室で
教科書やノートをまとめていると。
「郁ちゃん?」
鈴の鳴るような、優しい音色で名前を呼ばれた。
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