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振り返った先には、長い艶やかな黒髪を携えた采女(あやめ)が微笑んでいた。
「采女!昨日どうしたの?
調子悪かった?」
「ううん。
昨日はうちで大事な祭祀があって、お手伝いがあったから休んだの。
それより……」
細くて白い指を口元に添え、
何かを思い出すように宙へ視線を動かす采女。
「郁ちゃん、昨日何か変わったことなかった?」
「変わったこと?」
ドキリ、と騒がしく粟立つ胸。
「そう、何か……。
不思議なご縁?なのかな。
私もまだはっきり見えないんだけど……。
夜、式神がやたらと郁ちゃんのこと騒いでたから」
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