気苦労その2

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僕はアーリアの方へ振り向く。 「妾から頼んだとはいえ本来なら関係のないことじゃ。お主は妾の勝手な事情に巻き込まれて妾を恨んでおらぬのか?」 そうアーリアは不安そうに顔を下げる。 僕は抱きかかえていたバーン君を降ろしそアーリアに近づく。 「別に恨んでなんかないよ。それにこれは僕自身が選んだことだから気にしなくていいよ。」 「しかし....。」 「それにね。僕は昔からなのか分からないんだけど一度目が合うと放っておけないんだ。困ってる人を見ると。」 そう僕はアーリアに言い聞かせる。 これは実際の僕の性格のことである。 昔から捨てられた猫と目が合うと連れて帰り、階段で困ってる車いすの人と合うと車いすごと運び、荷物を重たげに持ってるおばあさんと合えば目的地まで運ぶ。 そんな性格に周りから度の抜けたお人好しと呼ばれた記憶が残ってる。 そんな僕からすれば今回はスケールが違うだけでいつもの事だ。 「む、むぅ....ジュンがそういうなら....。」 「うん、じゃあこの話は終わり。ちなみに決行はいつにする?」 「それならもう決めておる。日中歩いて疲れている所を襲う。つまりは夜襲じゃな。」 今回の作戦。DE作戦。 DE作戦は奴隷商人に拉致されたダークエルフの集団を救出することである。 アーリアたちダークエルフの集落が襲われたのは2日前。 街から集落までおよそ5日かかるらしい。 今回はその街までの間に奴隷商人を襲撃、ダークエルフの救出を目的としている。 本来人間がダークエルフとは無縁である。 しかしアーリア曰く最近の人間界ではエルフやコポルドといった亜人の奴隷が流行しているらしい。 その流行に促されるように通常のエルフだけでなくダークエルフも奴隷としようとしているらしい。 僕はここでふと疑問を感じる。 「アーリア、エルフとダークエルフの違いってなに?」 僕はふと感じた疑問を何気なくアーリアに問う。 アーリアはきょとんとした表情で僕を見る。 「説明しておらんかったかのう?まぁいい、ちょっとした勉強えおするとしようかの。」 そういってアーリアは適当にベッドの腰掛けて、ジェスチャーを交えながら説明し始めた。
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