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人型を形どった白線。頭部には血だまりが出来ていた。
応接間のような広い一室に集められた人々。
探偵が目深に被ったキャスケットを人差し指でグイッと上げて、声を張り「犯人は・・・・・・」
ピンポーン。文字で表すほど、綺麗な音ではない。くぐもった感じの呼鈴。
「いいところだったのに」
目の前にあるソファーに座ってる女性は自分の位置に向かうテレビの電源を消して、リモコンをヒョイっとテーブルに置いて立ち上がる。胸まで垂れた長い黒髪がサラサラと揺らめきながら、玄関まで足早に向かった。
「あら、ジュリちゃん。探偵さんはいる?」
ドアを開けると、そこには黒髪を後ろに束ねた女性が立っていた。
この女性は僕が部屋を賃貸しているビルの大家だ。40歳も過ぎるのに、すっぴんに近いナチュラルメイクにも関わらず、小じわも目立たないほど綺麗なのは、彼女に接する男性達が魅了されるのも肯ける。
彼女は隙間から、こちらを覗いてる。
「所長は・・・・・・その・・・今出かけてます」
歯切れの悪い返事を女性はする。
「また? まぁ、また来るわ」
大家は呆れつつも、笑いながら一言二言話して、ビルから出て行った。それを見送り、視界から姿が消えるのを見計らって、女性はドアをそっと閉めて部屋に戻ってくる。
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