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見た感じ10歳くらいの少年が、赤くなった目の下には涙を拭ったような痕が出来ていて、力いっぱいの握りこぶしを作っていた。
少女は身を屈めて、少年と同じ目線に合わせると、優しい声色で話し掛けた。
「どうしたの」
黙ったままの少年に、僕は邪険に言い放った。
「少年、用件は何かな。依頼ならお金が必要だけど持ってるかな?」
僕の言葉に少女はムッとして、少年に向けられていた時とは違う形相で僕を睨みつける。ドアを後ろ手で閉めて、少年の背中を片方の手で優しく添えた少女は言葉を返した。
「いくら家賃が払えなくても、困ってる人からお金をせがむほど人として落ちぶれてはいません」
はいはい、7歳上の僕に対してこの態度なのだから末恐ろしい。
「あの・・・・・・ごめんなさい」
小さい声が2人の間を割って入ってくる。
「別の所に行きます」
少年が踵を返すのを、僕は慌てて玄関のドアノブを確保して引き留めた。
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