第4話

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  話し終わるまで… 何度涙を拭っただろうか。 言葉さえ声にできないほど苦しくて… 俺でもこんなに辛いのに、 麻美にまた思い出せなんて、 言えない。 「できれば…」 嗚咽の混じった声を絞り出す。 「彼女には思い出して欲しくないんです。 死にたい。 と言ったんです。 彼女の気持ちを考えたら、 このままそっとして置いてあげたい。 そう言うわけにはいきませんか…?」 そう言うわけにはいかないことは知ってる。 犯人を許せない気持ちは、 両親と同じほど、 強い。 だけど、 今は、 麻美の気持ち。 それが一番大事だ。 「もちろん、 お嬢様の精神状態が落ち着いてからで構いません。 でも、 そんな犯人を野放しにはしておけないというのも、 解っていただきたい。 一刻も早く、 安心して暮らせるこの町に戻したい。 もし、 必要でしたら、 カウンセラーを来させることもできます。 私じゃなくて、 婦警を事情聴取に来させます。 ですから、 そう言ったことを含めて、 ご検討いただきたいのです。」 解ってるよ… そんなこと。 それが大事だって事も。 でも…
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